Vom Fassの店内
今ドイツでは、酒や酢、調理油などを、計量で売る量り売り方式が、徐々に普及しつつあります。Vom Fass(ドイツ語で「樽から」の意)というフランチャイズ方式のチェーン店は既に全国展開しており、またこの夏私が滞在した町では、Barrique(フランス語で「大樽」の意)というやはりフランチャイズ方式のチェーン店も見掛けました。また、ハンブルクに出掛けた時には、一般のワイン専門店で、店の一角に樽を並べて、ワインやスピリッツの量り売りもしているところを見掛けました。
Barriqueではコニャックやスコッチなどの蒸留酒やリキュールなどの酒類のみですが、Vom Fassでは、その他にワインや、オリーブオイル、胡麻油などの調味油、またバルサミコ酢などの酢も量り売りで、お好みの量だけ買えます。壜は自分で持参することも、店で売ってもらうことも出来ます。廃棄壜の減少に多大な貢献をする販売方式です。
とは言ってもこれらの店は、必ずしも廃棄壜の回避を第一のコンセプトとしているわけではありません。商品の種類は豊富で、高級品、珍らしいもの、また季節物もあり、グルメな人の興味も牽く品揃えです。油も低温圧搾のものしか取り扱わないという本格指向です。またこの販売方式では、客は買う前に味見をすることも出来るので、買った後に失望する心配もありません。
量り売りに使う壜も、色や形に富んだ五十種類余が用意されており、量り売りで買った酢や油の壜で、キッチンをきれいに飾ることもできますし、ちょっとした贈り物にもふさわしいのです。店内もファッショナブルに装飾されており、洒落たブティック感覚で、昔ながらの量り売りを新たな意匠で登場させたといったところでしょうか。
ドイツでは他に、化粧品の量り売りコーナーを持った、ネイチャー・ショップのチェーン店も現れてきています。
日本ではここ数年のワインブームもあってか、ワインの空き瓶が一つの廃棄物問題となっています。長期間の壜内熟成を要する高級ワインでは難しいかもしれませんが、一、二年以内で消費される若飲みタイプのものでは、量り売りは十分合理的な販売方式で、日本で消費されるワインも多くはこのタイプのもののはずです。
油の壜などは、デポジット方式で再使用していくのはなかなか難しいかもしれませんが、自分が昨日まで油を入れていた壜に油を注いでもらうのであれば、別に抵抗感はありません。
ブランデーや、リキュール、調理油など、一壜買うと持て余しかねないものが適量買えるというのは、核家族化が進み、さらに一人暮らしが増える時代の要求にもかなっているのではないでしょうか。日本の酒屋でも、日本酒の量り売りを新たに始めているのを見掛けることがありますが、まだまだ微々たる歩みです。
日本でも、この量り売りという、古くて新しい商売の方式で創業者精神を発揮し、行き詰まったごみ問題の打破に一役買ってくれる人は現れないものでしょうか。